コンテンツSEOとは?記事を増やしても売れない理由と成果につなげる7つの手順

王 孝匡王 孝匡公開: 26.10.23
コンテンツSEOとは?記事を増やしても売れない理由と成果につなげる7つの手順

「SEO記事を増やしているのに、問い合わせが増えない」
「検索順位は上がったものの、売上につながっている実感がない」

コンテンツSEOに取り組む企業から、こうした相談を受けることがあります。

検索順位やアクセス数の増加は、必ずしも売上の増加を意味しません。月間1万PVを獲得する記事よりも、100PVの記事の方が多くの売上を生むケースもあります。

この違いを生むのは、単なる記事の品質や検索順位だけではありません。誰に情報を届け、その人のどのような課題を解決し、商品やサービスの購入につなげるのか。 その設計が重要になります。

コンテンツSEOは、検索流入を増やすこと自体が目的ではありません。自社の商品やサービスを必要とする人に適切な情報を届け、比較検討を支援し、最終的な事業成果につなげるための施策です。

本記事では、コンテンツSEOの基本的な仕組みから、成果につなげるための7つの実践手順、効果測定の方法まで解説します。また、弊社が宮城県石巻市の鯖寿司「華ずし」で取り組んだSEOの実例や国内外の調査結果を交えながら、実務で押さえるべき判断基準を紹介します。

コンテンツSEOとは?検索流入を事業成果につなげるSEO施策

コンテンツSEOとは、検索者の課題解決や意思決定を支援する施策

コンテンツSEOとは、検索ユーザーの疑問や課題に応えるコンテンツを企画・制作・改善し、自然検索(オーガニック)からの集客や問い合わせ、購入などにつなげるSEO施策です。

例えば、「SEO 費用」と検索する人は、SEO対策にどの程度の予算が必要なのかを調べていると考えられます。

こうした検索者に対して、費用相場だけでなく、料金に差が生じる理由や見積もりを比較する際の判断基準まで説明できれば、実際にSEO会社を選ぶ際にも役立つ記事になります。

さらに、具体的な依頼先を検討する段階で、SEO会社の比較記事や自社のサービスページを参照できるようにしておけば、問い合わせにつながる可能性も高まります。

コンテンツSEOの基本的な流れは、次のとおりです。

検索ニーズの把握 → コンテンツの企画・制作 → 自然検索からの集客 → 課題解決・比較検討の支援 → 問い合わせ・購入

なお、コンテンツSEOの対象はブログ記事だけではありません。サービス紹介ページ、料金ページ、導入事例、よくある質問(FAQ)、商品選びのガイドなども、検索ニーズに応える重要なコンテンツです。

検索上位を目指して記事を制作することは、コンテンツSEOの一部にすぎません。

検索者が求める情報を提供するだけでなく、その後の比較検討や購入までを見据えてコンテンツを設計することで、検索流入を事業成果につなげやすくなります。

テクニカルSEO・コンテンツマーケティングとの違い

コンテンツSEOと関連する施策に、「テクニカルSEO」と「コンテンツマーケティング」があります。それぞれ役割や対象範囲は異なりますが、独立した施策というわけではなく、相互に関係しています。

項目

コンテンツSEO

テクニカルSEO

コンテンツマーケティング

主な役割

検索者のニーズに応える情報を提供し、集客や成果につなげる

検索エンジンがサイトを発見・理解しやすい技術的な環境を整える

コンテンツを通じて顧客との接点をつくり、関係を構築する

具体的な施策

SEO記事、比較ページ、導入事例、既存コンテンツの改善

クロール・インデックスの改善、サイト構造の最適化、表示速度の改善

SEO記事、SNS、動画、メールマガジン、ホワイトペーパー

主な接点

Googleなどの自然検索

検索エンジンとWebサイト

検索、SNS、メールなど複数のチャネル

成果指標の例

自然検索流入、問い合わせ、購入、商談への貢献

インデックス状況、技術的問題の解消、検索パフォーマンス

リード獲得、顧客育成、売上など

コンテンツSEOとテクニカルSEOは、検索エンジンからの集客を実現するうえで、互いを補完する関係にあります。

例えば、検索者に役立つ記事を制作しても、技術的な問題によってページがインデックス登録されていなければ、Googleの検索結果からアクセスを獲得することはできません。

一方、クロールやインデックスに関する問題を解消しても、それだけで検索者が求める情報が充実するわけではありません。

また、コンテンツマーケティングは、自然検索だけでなく、SNSやメール、動画なども活用して顧客との関係を構築する、より広いマーケティング活動です。

コンテンツSEOは、コンテンツマーケティングの一部として位置づけられ、特に自然検索を通じた集客や比較検討の支援を担います。

検索で見つけてもらうだけでなく、比較検討の段階から選ばれる理由をつくる

SEOの成果を評価する際、検索順位やアクセス数は重要な指標です。しかし、顧客が商品やサービスを購入するまでの過程を考えると、検索結果からサイトを訪れることは、その一部にすぎません。

例えば、SEO会社への依頼を検討している担当者は、次のような情報を調べると考えられます。

  1. 「SEOとは」で施策の基本的な仕組みを理解する
  2. 「SEO 費用」で予算の目安を把握する
  3. 「SEO コンサル会社 東京」で依頼先を比較する
  4. 候補企業の実績や担当者、第三者からの評価を確認する

実際の購買行動が、必ずしもこの順序で進むわけではありません。複数の企業を比較した後に費用相場を調べ直したり、社内での検討を経て別の候補を探したりすることもあります。

こうした購買行動を考えるうえで、参考になる調査があります。

6senseが公表した「2025 B2B Buyer Experience Report」では、世界の約4,000人のBtoB購買関係者を対象とした調査において、最終的に選ばれた企業の95%が、購買検討の初期段階で作成された候補リストに含まれていたと報告されています。

参考:6sense「2025 B2B Buyer Experience Report」

この調査は海外を含むBtoB購買を対象としたもので、日本のすべての商材に当てはまるわけではありません。また、SEO記事が候補企業の選定に与えた影響を直接示すものでもありません。

ただし、顧客が企業に問い合わせる前から、依頼先の比較や絞り込みを進めていることは、コンテンツSEOを設計するうえでも重要な示唆となります。

例えば、SEOの基礎知識を調べている段階では、記事を読んですぐに問い合わせるとは限りません。それでも、記事の内容から企業の専門性や考え方が伝われば、後に具体的な依頼先を探す際、その企業が比較候補に挙がる可能性があります。

そのため、コンテンツSEOでは、問い合わせに直結するキーワードだけでなく、顧客が課題を認識し、解決策を調べ、依頼先を比較する各段階で、どのような情報を提供するかを考えることが重要です。

検索結果で上位に表示されることと、顧客から依頼先として選ばれることは別です。 コンテンツSEOでは、検索流入の獲得に加えて、顧客の意思決定にどのように貢献するかまで設計する必要があります。

コンテンツSEOのメリット・デメリット|継続的な集客と投資上の注意点

コンテンツSEOには、公開した記事から継続的に検索流入を獲得できる可能性がある一方、成果が出るまでに時間がかかり、必ずしも売上につながるとは限らないという特徴があります。

施策への投資を判断するために、主なメリットとデメリットをそれぞれ2つ紹介します。

メリット① 継続的な検索流入を獲得できる

コンテンツSEOのメリットの一つは、公開した記事が中長期にわたって集客に貢献する可能性があることです。

例えば、検索広告では競合の出稿状況やコンバージョン率の変化などによって、顧客獲得単価(CPA)が高騰することがあります。採算が合わず広告配信を停止すれば、その広告からの流入も止まります。

一方、SEO記事は公開後も検索結果に表示され続ける限り、クリックごとの広告費をかけずに新しいユーザーを集客できる可能性があります。

例えば、数年前に公開した「SEOの費用相場」の記事でも、情報が現在の状況に合っており、検索者の疑問に十分に答えていれば、継続的な集客や問い合わせにつながる可能性があります。

また、企業名やサービス名を知らない人に接触できる点も特徴です。自社の商品やサービスを直接探していなくても、関連する課題について検索している人に情報を届けられます。

ただし、記事を公開すれば、その後も安定して流入を獲得できるわけではありません。競合サイトの改善や検索ニーズの変化、検索エンジンのアップデートなどによって、検索順位や流入数が変動するためです。

継続的な集客を実現するには、公開後も情報の更新や内容の改善に取り組む必要があります。

メリット② 顧客の比較検討を支援し、問い合わせや商談につなげられる

コンテンツSEOは、検索流入の獲得だけでなく、顧客が商品やサービスを比較検討する際にも役立ちます。

例えば、SEO会社への依頼を考えている担当者は、最初から具体的な依頼先を探しているとは限りません。まずSEOの基本的な仕組みを調べ、費用相場を把握した後に、候補となる会社を比較することもあります。

こうした購買行動を想定して、施策の概要を説明する記事、費用を解説する記事、SEO会社の比較記事などを用意し、内部リンクでつなげておけば、読者は検討状況に応じて必要な情報を得られます。

さらに、記事を通じて企業の専門性やサービスの特徴が伝われば、後日、企業名で再検索されたり、問い合わせや商談につながったりする可能性もあります。

ただし、こうした効果をアクセス解析だけで正確に把握することは困難です。例えば、記事を読んだ人が後日企業名で検索して問い合わせた場合、その行動に過去の記事閲覧がどの程度影響したかを特定できるとは限りません。

そのため、記事の成果を評価する際には、直接的な問い合わせ数だけでなく、関連ページへの遷移や指名検索の動向、問い合わせ時のアンケート、商談でのヒアリングなども参考にするとよいでしょう。

特に、情報収集段階の読者を対象とする記事では、直接的なコンバージョンだけでなく、その後の比較検討にどのように貢献しているかを考えることが重要です。

デメリット① 成果が出るまでに時間と工数がかかる

コンテンツSEOは、記事を公開してすぐに成果が出る施策ではありません。

公開した記事が検索エンジンに認識され、検索順位が改善し、十分な流入を獲得するまでには時間がかかる場合があります。特に競合の多い領域や新しいWebサイトでは、成果が出るまでの期間を正確に予測することは困難です。

また、必要な作業は記事の執筆だけではありません。検索ニーズの調査や競合分析、専門家への取材、構成案の作成、編集、事実確認、公開後の効果測定など、多くの工程が発生します。

さらに、検索順位の改善と投資回収には時間差があります。

例えば、記事公開から3か月後に検索順位が上がり、5か月後に問い合わせが発生したとしても、すぐに受注につながるとは限りません。特にBtoBサービスでは、商談や社内稟議などを経て契約に至るまで、さらに時間がかかることもあります。

その間も記事制作や運用の費用は発生します。

したがって、短期間で売上を確保する必要がある企業では、コンテンツSEOよりも検索広告や営業活動などを優先した方が合理的な場合もあります。

デメリット② 検索流入が売上につながるとは限らず、外部環境の影響も受ける

コンテンツSEOでは、検索流入が増えても、それに比例して問い合わせや売上が増えるとは限りません。

例えば、鯖寿司を販売する食品通販の企業が「魚の種類」というキーワードで多くのアクセスを獲得しても、検索者の目的が魚の名前や特徴を調べることであれば、商品購入にはつながりにくいでしょう。

一方、「鯖寿司 通販」「鯖寿司 お取り寄せ」といったキーワードで検索する人は、購入できる商品や販売店を探していると考えられます。検索ボリュームが小さくても、こうしたキーワードの方が売上に貢献する可能性があります。

つまり、重要なのは検索需要の大きさだけではありません。検索者の目的と自社の商品・サービスがどれだけ一致しているかを踏まえて、対策するキーワードを選ぶ必要があります。

また、競合状況や検索結果の変化も成果に影響します。

競合サイトが充実している分野では、質の高い記事を制作しても、必ずしも上位表示できるわけではありません。特に医療や金融などのYMYL領域では、情報の正確性や発信主体の信頼性を慎重に評価する必要があります。

さらに、GoogleのAI Overviewsなど、検索結果上で回答を提示する機能の普及によって、検索順位が高くても従来ほどクリックを獲得できないケースが生じています。

こうした環境では、検索ボリュームだけを根拠に記事制作を進めると、想定した成果を得られない可能性があります。

コンテンツSEOへの投資を判断する際には、検索需要の大きさに加えて、自社の商品・サービスとの関連性、競合状況、想定される流入やコンバージョン、制作・運用費用などを総合的に評価することが重要です。

なぜ「アクセスは増えたのに売れない」のか?成果が出る記事と出ない記事の違い

コンテンツSEOに取り組み、検索順位やアクセス数が改善しても、問い合わせや売上が増えないケースがあります。

その原因を考える際、まず確認したいのは、集客できている人が、自社の商品やサービスを必要とする人なのかという点です。

検索流入が増えても、訪問者の目的と自社の商品・サービスが合っていなければ、事業成果にはつながりにくくなります。

また、見込み顧客を集客できていても、記事の内容が不十分だったり、次の検討段階へ進む導線がなかったりすれば、問い合わせや購入の機会を逃すことがあります。

月間1万PVの記事より、100PVの記事の方が売上に貢献することもある

例えば、SEO会社が次の2つの記事を公開しているとします。

項目

記事A

記事B

対策キーワード

SEOとは

SEOコンサル会社 東京

月間PV

10,000PV

100PV

想定読者

SEOの基本を知りたい人

SEO会社への依頼を検討している人

問い合わせ数

2件

5件

問い合わせ率

0.02%

5.0%

※数値は説明用の仮定であり、実際の運用データではありません。問い合わせ率はPVを分母として計算しています。

記事Aは記事Bの100倍のアクセスを獲得していますが、問い合わせ数では記事Bが上回っています。

この違いは、検索者の目的から説明できます。

「SEOとは」と検索する人には、SEOの基礎知識を学びたい学生や、情報収集を始めたばかりの担当者なども含まれるでしょう。一方、「SEOコンサル会社 東京」と検索する人は、具体的な依頼先を探している可能性が高いと考えられます。

もちろん、「SEOとは」のような基礎的なテーマを扱う記事に価値がないわけではありません。企業を知ってもらうきっかけになり、将来の比較検討に役立つこともあります。

ただし、直接的な問い合わせや売上を増やすことが目的であれば、アクセス数だけでなく、検索者の検討段階や購入意図を踏まえて記事を評価する必要があります。

記事を100本制作しても、成果が出るとは限らない

コンテンツSEOでは、記事数を増やすことがそのまま成果につながるわけではありません。

例えば、月間検索ボリュームが大きいキーワードを中心に100本の記事を制作しても、競合が強く検索上位を獲得できなければ、十分な流入は見込めません。

仮にアクセスを獲得できても、検索者の目的が自社の商品やサービスと結びついていなければ、問い合わせや購入への貢献は限定的です。

一方、顧客の課題や購入意図を踏まえて10本の記事を制作し、検索結果で評価されれば、少ない記事数でも事業成果につながる可能性があります。

Ahrefsが2023年に公開した調査では、調査対象ページの96.55%が、Googleからの推定オーガニック検索トラフィックを獲得していないと報告されています。

参考:Ahrefs「90.63% of Content Gets No Traffic From Google. And How to Be in the Other 9.37%」

この調査はAhrefsによる推定データに基づくものであり、すべてのページに実際のアクセスがなかったことを意味するものではありません。また、記事の品質や制作本数と成果の因果関係を直接示すものでもありません。

それでも、コンテンツを公開するだけでは検索流入を獲得できないページが多いことを示す参考データにはなります。

記事数を目標にするのではなく、どの検索者に、どのような情報を提供し、どのような成果を目指すのかを明確にすることが重要です。

コンテンツSEOで成果が出ない4つの原因

検索流入や記事数が増えても成果につながらない場合、主に次の4つの原因が考えられます。

① 検索ボリュームを優先し、顧客との関連性を確認していない

検索需要が大きいという理由だけでキーワードを選ぶと、自社の商品・サービスを必要としない人を集客してしまうことがあります。

例えば、鯖寿司を販売する企業が「魚の種類」で多くのアクセスを獲得しても、検索者の目的が魚について学ぶことであれば、商品購入にはつながりにくいでしょう。

一方、「鯖寿司 通販」「鯖寿司 お取り寄せ」といったキーワードでは、購入を検討している人との接点をつくれる可能性があります。

② 上位記事を参考にするだけで、自社ならではの情報が不足している

競合記事の見出しを集めて構成を作るだけでは、既存の記事と似た内容になりがちです。

例えば、SEO会社が「SEO会社の選び方」という記事を制作するなら、一般的な比較項目を紹介するだけでなく、実際の支援経験から、契約前に確認すべきことや、成果が出なかったケースの共通点などを説明できるはずです。

読者が判断するために必要な情報を、自社の経験やデータを交えて提供することが重要です。

Google公式も、コンテンツが単なるコピーや書き換えではなく、付加価値とオリジナリティを十分に示すものであるかを重視しています。

参考:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」

③ 記事を読んだ後の行動が設計されていない

記事の内容が充実していても、読者が次に必要な情報へ進めなければ、比較検討が途中で止まってしまうことがあります。

例えば、「SEO 費用」の記事で予算の目安を理解した読者が、次にSEO会社を比較したいと考えている場合、会社選びの解説記事やサービスページへの導線があると便利です。

ただし、すべての記事から問い合わせを促せばよいわけではありません。読者の検討段階に合わせて、適切な内部リンクやCTAを設計する必要があります。

④ 検索順位やPVだけで成果を評価している

検索順位やアクセス数は、SEOの状況を把握するうえで重要な指標です。しかし、それだけでは事業への貢献を十分に判断できません。

例えば、検索流入が増えていても問い合わせ数が変わらない場合は、集客しているユーザーの目的や、記事からサービスページへの導線を確認する必要があります。

また、問い合わせが増えていても商談や受注につながっていなければ、獲得している顧客層が適切かを見直す必要があるでしょう。

コンテンツSEOでは、検索順位やPVに加えて、問い合わせ、商談、受注、売上などを確認し、事業成果とのつながりを評価することが重要です。

これらの原因を踏まえると、成果を出すためには記事数を増やすだけでなく、検索者の目的と自社の商品・サービスを結びつける設計が欠かせません。

次に、実際の事業でどのようにキーワードを選び、検索流入を売上につなげたのか、鯖寿司通販「華ずし」の事例を紹介します。

コンテンツSEOの成功事例|鯖寿司通販「華ずし」の取り組み

ここまで、コンテンツSEOのメリットとデメリットを説明しました。では、実際の事業では、どのようにキーワードを選び、検索流入を売上につなげていくのでしょうか。

ここでは、弊社ピクシスの代表・板橋が取り組んだ、宮城県石巻市の鯖寿司通販「華ずし」の事例を紹介します。

この事例で注目していただきたいのは、検索順位の改善だけではありません。限られた予算の中で、どのキーワードを優先し、記事をどのように購入につなげたのか。その判断と実行の過程です。

月商2〜3万円の鯖寿司通販で、SEOに取り組んだ背景

「華ずし」は、板橋の実家が営む鯖寿司の通販事業です。

取り組みを始めた当時、通販事業の月商は2〜3万円程度にとどまっていました。売上を増やす必要がある一方、大規模な広告投資は難しい状況でした。

そこで、集客施策の一つとしてSEOに取り組むことにしました。

もちろん、SEOであれば費用がかからないというわけではありません。記事の制作やサイトの改善には時間も工数も必要です。それでも、商品を探している人に検索結果から接触でき、公開したコンテンツが継続的に集客する可能性があることは、当時の事業にとって魅力でした。

取り組みにあたっては、GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleなどを活用し、検索からの流入状況や購入につながる経路を確認しました。

出発点にあったのは、記事数やアクセス数を増やすという目標ではありません。通販事業の売上を伸ばすために、検索からどのような顧客を集めるべきかという課題でした。

検索ボリュームよりも、購入につながるキーワードを優先

キーワードを選ぶ際に重視したのは、検索ボリュームの大きさよりも、検索者の目的と商品との関連性です。

例えば、「鯖寿司 通販」「鯖寿司 お取り寄せ」と検索する人は、鯖寿司を購入できる店舗や商品を探している可能性が高いと考えられます。

一方、「鯖寿司 カロリー」「鯖寿司 作り方」などのキーワードでは、検索者が知識や調理方法を求めており、必ずしも商品購入を考えているわけではありません。

どちらも鯖寿司に関連する検索ですが、購入までの距離は異なります。

そこで、まずは通販での購入を検討している人との接点を優先しました。競合店名を含むキーワードや、商品との関連性が弱いテーマについては、検索需要があっても優先順位を下げています。

限られた予算や人員で成果を出すには、すべてのキーワードを同時に狙うことはできません。検索需要に加えて、購入意図、競合状況、自社商品の強みを踏まえ、取り組む順番を決める必要がありました。

検索意図に合わせた記事制作と購入導線の整備

キーワードを選定した後は、検索者が求める情報に応じてコンテンツを制作しました。

ここで注意したのが、キーワードごとに機械的に記事を分けないことです。

例えば、「鯖寿司 おすすめ」と「鯖寿司 ランキング」は、検索者が求める情報に共通する部分があります。検索結果や検索意図を確認したうえで、一つの記事で対応できると判断すれば、無理に別々の記事を制作する必要はありません。

また、購入意図の高いキーワードだけでなく、鯖寿司の栄養や作り方、安全性などを扱う記事も制作しました。

これらの記事は、必ずしも直接の購入を目的とするものではありません。鯖寿司に関心のある人との接点を増やし、商品への理解を深めてもらう役割があります。

記事から商品ページへ移動できる導線も整備しました。ただし、どの記事にも同じように購入を促したわけではありません。

商品を探している読者には購入先の情報を、鯖寿司について調べている読者には関連する解説や商品情報を案内するなど、記事の内容と読者の関心に合う導線を意識しました。

さらに、記事制作と並行してタイトルタグなども改善し、検索結果で記事の内容が適切に伝わるようにしました。

検索順位の改善と売上への貢献から学べること

取り組みを進めた結果、開始から約5か月後には、狙ったキーワードで検索結果の1ページ目に表示されるようになりました。

その後、主要キーワードでも検索順位の改善が見られました。

キーワード

改善前

改善後

鯖寿司

93位

3位

鯖寿司 通販

69位

3位

鯖寿司 お取り寄せ

26位

1位

また、Googleアナリティクスの記録では、2019年1月から2022年12月までの自然検索経由の売上として、約1,247万円が計測されています。

ただし、この数字はSEOだけによって事業全体の売上が増えたことを証明するものではありません。華ずしでは、SEO以外にも広告、SNS、ECモールへの出店、サイト基盤の改善、ギフト対応などに取り組んでいました。事業の売上回復には、複数の施策が関係しています。

もう一つ、印象的だったのが、検索流入と購入の関係です。

アニサキスがニュースで取り上げられた際には、関連する記事へのアクセスが増加しました。しかし、そうした検索者は食品の安全性について調べていることが多く、鯖寿司の購入にはつながりにくい傾向がありました。

一方、「鯖寿司 通販」「鯖寿司 お取り寄せ」のようなキーワードは、検索者の目的と商品が直接結びついています。

この経験からも、検索流入の多さだけでは記事の事業貢献を評価できないことが分かります。

華ずしの事例で参考にしていただきたいのは、特定のキーワードで上位表示できたという結果以上に、売上を伸ばすという目的から逆算し、検索意図と商品の関連性を基準に施策の優先順位を決めたことです。

記事を増やす前に、どの検索者に商品を届けるべきかを考える。この判断は、食品通販以外の事業でも応用できます。

コンテンツSEOに取り組むべき企業・優先すべきでない企業

コンテンツSEOには継続的な集客が期待できますが、すべての企業が優先して取り組むべき施策ではありません。

検索需要があっても、競合が強く上位表示が難しい場合や、集客できても購入につながりにくい場合があります。また、記事を新しく制作するよりも、既存サイトの問題を解消した方が成果につながるケースもあります。

投資を始める前に、自社にとってコンテンツSEOが適切な施策かを判断することが重要です。

コンテンツSEOへの投資を判断する3つの基準

コンテンツSEOに取り組む価値があるかは、主に次の3つの観点から判断できます。

判断基準

確認したいこと

① 検索需要

見込み顧客が、自社の商品・サービスに関連する課題や情報を検索しているか

② 競合状況

既存の上位サイトと比較して、自社が有益な情報を提供し、検索流入を獲得できる見込みがあるか

③ 事業への貢献

制作・運用に必要な投資に対して、問い合わせや売上、利益への貢献を期待できるか

例えば、検索ボリュームが小さくても、受注単価の高いBtoBサービスであれば、月に数件の有望な問い合わせを獲得するだけで投資に見合う場合があります。

反対に、月間数万回検索されるキーワードでも、検索者の目的が自社の商品やサービスと結びついていなければ、売上への貢献は限定的でしょう。

検索需要の大きさだけで判断せず、どのような顧客に接触でき、その後どのような成果が見込めるかを検討する必要があります。

競合が強いキーワードは、無理に狙わない判断も必要

検索需要が大きいキーワードほど、競合サイトが充実している傾向があります。

例えば、医療や金融などの分野では、専門性の高い企業や公的機関、大規模な情報サイトが上位に表示されていることがあります。新規参入のサイトが同じキーワードで上位表示を目指す場合、相応の時間や投資が必要になるでしょう。

競合調査では、記事の文字数や見出し数だけでなく、検索者の疑問にどこまで答えているか、独自のデータや経験があるか、発信主体に十分な専門性があるかを確認します。

Ahrefsなどのツールで確認できるドメインの評価指標も参考になりますが、その数値だけで上位表示の難易度を判断することはできません。

競争が激しい場合には、より具体的な悩みを扱うキーワードや、自社ならではの知見を提供できるテーマを探す方法があります。

例えば、「SEO」という広いキーワードよりも、「BtoB SEO リード獲得」のように対象や課題が具体的なキーワードの方が、検索者の目的を絞り込んで情報を提供しやすい場合があります。

それでも十分な成果が見込めないなら、コンテンツSEOの優先順位を下げ、ほかの集客施策に投資する判断も必要です。

新規記事よりも、既存記事やサイトの改善を優先すべき場合

コンテンツSEOを始める際、新しい記事の制作から着手する企業は少なくありません。しかし、サイトの状況によっては、記事を増やしても期待した成果が得られないことがあります。

例えば、300記事を公開しているにもかかわらず、検索順位1位の記事が数本しかなく、3位以内の記事も少ないとします。

この場合、記事数の不足だけが問題とは考えにくいでしょう。

検索意図とのずれ、情報の不足、記事同士の重複、内部リンクの構造、サイト全体の専門性などを確認する必要があります。

また、重要なページがインデックス登録されていない、検索エンジンがページを適切に取得できないといった技術的な問題があれば、記事を追加する前に解消すべきです。

既存の記事に検索流入があるものの問い合わせにつながっていない場合は、記事の内容やサービスページへの導線を見直すことで改善できる可能性もあります。

新規記事の制作、既存記事の改善、テクニカルSEOのどれを優先するかは、サイトの課題と期待できる事業成果によって決めます。

コンテンツSEOの具体的なやり方|成果につなげる7つのステップ

コンテンツSEOを進める際は、記事制作の前に事業目標と顧客を理解し、公開後の改善までを一連の取り組みとして設計します。

実務では、次の7つのステップで進めると整理しやすくなります。

  1. 目的を明確にし、顧客・商品・事業を理解する
  2. サイトの技術的な問題と既存コンテンツを分析する
  3. キーワードを収集し、優先順位を決める
  4. 記事ごとに想定読者と読後のゴールを設定する
  5. 一次情報を集め、記事構成と導線を設計する
  6. 専門家による確認を経て執筆・公開する
  7. 効果を測定し、仮説に基づいて改善する

STEP1:目的を明確にし、顧客・商品・事業を理解する

最初に行うのは、コンテンツSEOで何を達成したいのかを明確にすることです。

例えば、同じ検索流入の増加でも、BtoB企業が商談数を増やしたい場合と、ECサイトが商品購入を増やしたい場合では、優先すべきキーワードやコンテンツが異なります。

目的を決めたら、顧客と自社の商品・サービスについて調べます。

特に確認したいのは、次の4点です。

  • 誰が、どのような理由で購入するのか:顧客の特徴と購入のきっかけ
  • 購入前に何を悩み、何を調べるのか:情報収集の目的と検討上の障壁
  • 自社が選ばれる理由は何か:競合との違いや顧客から評価されている点
  • 市場にはどのような課題があるか:顧客の行動や選択に影響する環境

こうした情報は、営業担当者へのヒアリング、過去の問い合わせ、顧客アンケート、商談記録などから集められます。

例えば、勤怠管理システムを販売する企業であれば、導入企業の業種や規模だけでなく、担当者が何に困っていたのか、なぜ導入を決めたのかを確認します。

「毎月の集計作業に時間がかかっていた」「法改正への対応に不安があった」など、具体的な課題が分かれば、検索者が求める情報も想像しやすくなります。

この段階で整理したいのは、施策の目的、対象顧客、自社の強み、顧客が抱える課題です。以降のキーワード選定や記事制作は、ここで定めた方針を基準に進めます。

STEP2:サイトの技術的な問題と既存コンテンツを分析する

次に、現在のWebサイトがどのような状態にあるかを確認します。

すでに多くの記事を公開しているサイトと、立ち上げたばかりのサイトでは、優先すべき作業が異なります。

まず、Google Search Consoleを使い、ページのインデックス登録状況や検索順位、表示回数、クリック数などを調べます。

あわせて、既存記事の内容や対策キーワードを整理し、検索流入を獲得している記事、順位が伸びていない記事、内容が重複している記事を把握します。

例えば、検索順位が5〜10位前後の記事が複数ある場合、新規記事を制作するよりも、それらの記事を改善した方が早く成果につながる可能性があります。

一方、重要なページがインデックス登録されていなければ、記事内容の改善よりも先に技術的な問題を調査する必要があります。

このステップの目的は、問題点を見つけることだけではありません。

新しい記事を制作するのか、既存記事を改善するのか、サイトの技術的な問題を解消するのか。 限られた予算と工数をどこに配分するべきかを判断します。

STEP3:キーワードを収集し、検索意図と事業成果から優先順位を決める

サイトの現状を把握したら、対策するキーワードを選定します。

まずは、STEP1で整理した顧客の課題や商品の特徴をもとに、関連する検索キーワードを洗い出します。

Google Search Console、Googleキーワードプランナー、ラッコキーワード、Ahrefsなどを活用すると、関連語や検索需要、競合の状況を調べられます。

ただし、検索ボリュームが大きい順に記事を制作するのは適切ではありません。

例えば、勤怠管理システムを提供する企業であれば、次のようなキーワードが考えられます。

キーワード例

想定される検索目的

記事の役割

勤怠管理とは

基本的な仕組みを理解したい

課題理解・認知

勤怠管理 エクセル 限界

現在の管理方法の問題を解決したい

課題整理

勤怠管理システム 比較

導入候補を比較したい

比較検討

勤怠管理システム 費用対効果

導入する価値を判断したい

導入判断

予算が限られている場合は、商品・サービスとの関連性が高く、問い合わせや購入につながる可能性があるテーマから優先するとよいでしょう。

一方、中長期的な認知拡大を目指す場合は、顧客が課題を認識する段階のキーワードも重要になります。

また、キーワードごとに必ず1記事を制作する必要はありません。

例えば、「鯖寿司 おすすめ」と「鯖寿司 ランキング」は検索意図が近く、検索結果の傾向によっては一つの記事で対応できます。

似た内容の記事を複数制作すると、情報が分散し、サイト内で役割が重複することがあります。検索意図や上位表示されているURLを比較し、記事を分ける必要があるか判断します。

最終的には、対策キーワード、検索意図、記事の役割、優先順位を一覧表にまとめておくと、制作計画を管理しやすくなります。

STEP4:記事ごとに想定読者・検索意図・読後のゴールを設定する

キーワードを決めたら、すぐに見出しを作るのではなく、誰に何を伝える記事なのかを具体化します。

例えば、「勤怠管理システム 費用対効果」と検索する担当者は、費用対効果の定義を知りたいだけではないでしょう。

導入費用に対して、集計作業の削減や管理業務の効率化によってどの程度の効果が見込めるのかを把握し、導入の可否を判断したいと考えられます。

この場合、記事で優先すべきなのは、費用対効果の一般的な説明よりも、計算方法や必要なデータ、具体的な試算例です。

記事の企画では、次の3点を整理します。

  • 検索時点の状態:読者は何に困り、何を知っているのか
  • 知りたい情報:疑問を解消するために何が必要か
  • 読後のゴール:記事を読んだ結果、何を理解し、判断できるようになるべきか

例えば、「費用対効果の計算方法を理解し、自社の条件で導入効果を試算できる状態になる」と設定すれば、必要な情報が明確になります。

競合記事の見出しを参考にすることは有効ですが、それらを集めるだけでは読者に必要な記事になるとは限りません。

情報を掲載するかどうかは、検索者の疑問を解消し、次の判断や行動を支援できるかを基準に決めます。

STEP5:社内の一次情報を集め、記事構成と導線を設計する

読者の状態とゴールが明確になったら、記事に必要な情報を集め、構成案を作成します。

この段階で重視したいのが、社内に蓄積されている一次情報です。

例えば、営業担当者は、顧客からよく聞かれる質問や、商談で比較されるポイントを把握しています。カスタマーサポートには、導入後につまずきやすい点や、利用者から寄せられる疑問が集まっています。

こうした情報には、一般的な解説記事だけでは得られない具体性があります。

取材では、次のような質問が役立ちます。

  • 顧客から繰り返し質問されることは何か
  • 成約する顧客と失注する顧客では、何が異なるか
  • 一般的な方法では解決できなかった事例はあるか
  • 実際の業務や導入事例から示せるデータはあるか

ただし、独自の情報であれば何でも掲載すればよいわけではありません。読者の疑問や判断に役立つ情報を選び、適切な位置に配置することが重要です。

構成案では、読者が理解しやすい順序で見出しを設計します。複雑な内容は、具体例や比較表、図解などを活用すると伝わりやすくなります。

また、記事を読んだ後の行動も考えます。

例えば、費用相場を調べている読者には料金体系の詳しい解説を、具体的な導入先を検討している読者にはサービスページや導入事例を案内する方が自然です。

内部リンクやCTAは、数を増やすこと自体が目的ではありません。読者が次に必要とする情報へ進めるように設計します。

STEP6:専門家による確認を経て、執筆・公開する

構成案が完成したら、本文の執筆に進みます。

このとき、できれば執筆前に専門家や事業担当者に構成案を確認してもらうことを推奨します。

記事の方向性がずれたまま執筆すると、完成後に大幅な修正が必要になるためです。

構成案の段階で、説明が不足している論点や事実関係の誤り、実務との違いを確認できれば、執筆の精度を高められます。

本文では、必要な情報を並べるだけでなく、読者が理解できるように説明することが大切です。

例えば、専門用語を使う場合は意味を説明し、判断が必要な内容では具体的な基準や事例を示します。

また、E-E-A-Tを意識する場合も、著者名や監修者名を掲載するだけで十分とはいえません。実際の経験や専門知識が、記事の説明や判断に反映されていることが重要です。

なお、E-E-A-TはGoogleがコンテンツの品質を考える際に示している概念であり、それ自体が独立した直接のランキング要因というわけではありません。

生成AIを活用する場合も同様です。構成の整理や文章の下書きには役立ちますが、事実確認、一次情報の選定、専門的な判断は人間が責任を持って行う必要があります。

公開前には、記事の内容に加えて、タイトルタグ、メタディスクリプション、見出し構造、内部リンク、スマートフォンでの読みやすさなども確認します。

完成度を判断する基準は、文字数や見出しの多さではありません。読者が必要な情報を得て、次の判断に進める記事になっているかを確認します。

STEP7:効果を測定し、仮説に基づいて改善する

記事を公開した後は、検索パフォーマンスと事業成果を確認します。

Google Search Consoleでは、表示回数、クリック数、CTR、検索順位などを把握できます。アクセス解析では、記事への流入やサイト内の行動、問い合わせ・購入などのコンバージョンを確認します。

重要なのは、数字を眺めることではなく、当初設定した目的に対して何が起きているかを判断することです。

例えば、検索順位が高いのにクリック数が少ない場合は、タイトルが検索意図に合っていない可能性があります。

一方、流入は十分にあるのに問い合わせが発生していない場合は、検索者と自社サービスの関連性や、記事からの導線を見直す必要があるかもしれません。

数値が伸びないからといって、すぐに記事全体を書き直す必要はありません。

まず、どの段階に問題があるのかを確認し、原因について仮説を立てます。そのうえで改善を行い、結果を検証します。

検索順位や流入数は週次・月次で確認し、記事の内容や導線の改善は、変化を見ながら継続的に取り組みます。

コンテンツSEOの効果測定と成果が出ないときの改善方法

コンテンツSEOの成果を評価する際は、検索順位やアクセス数だけで判断しないことが重要です。

記事の役割によって、確認すべき指標は異なります。また、成果が出ていない場合でも、検索結果での露出が不足しているのか、クリックされていないのか、訪問後の行動につながっていないのかによって、改善方法が変わります。

記事の役割に合わせてKPIを設定する

コンテンツSEOでは、すべての記事に同じ成果指標を設定する必要はありません。

例えば、課題を知ってもらうための記事と、サービスの比較検討を支援する記事では、期待する読者の行動が異なります。

記事の役割

主な指標

認知・課題理解

検索表示回数、クリック数、自然検索流入

比較検討の支援

関連記事やサービスページへの遷移、再訪問

問い合わせ・購入の獲得

CV数、CVR、商談数、売上

事業全体への貢献

受注数、売上、粗利、顧客獲得コスト

例えば、検索順位が上がり、月間1万PVを獲得したとしても、問い合わせが増えていなければ、事業成果として十分とはいえない場合があります。

反対に、月間100PVの記事から継続的に有望な問い合わせが発生しているなら、その記事は事業に貢献していると評価できます。

ただし、情報収集段階の記事に直接的な問い合わせを求めすぎると、本来の役割を見失うことがあります。記事ごとの目的を踏まえ、適切な指標で評価する必要があります。

施策全体の成果を評価する期間は、半年程度を一つの目安として考える方法があります。ただし、サイトの状態や競合状況、投入するリソースによって必要な期間は変わります。半年で成果が出ると保証されるものではありません。

一方、既存記事の改善では、修正後2週間〜1か月程度を目安に変化を確認することがあります。検索需要の規模やクロールの頻度によっては、より長い観察期間が必要です。

検索順位・CTR・CVの状況別に改善策を考える

記事の成果が伸びない場合は、どの段階に問題があるかを切り分けます。

状況

主に確認すること

改善の方向性

表示回数が少ない

インデックス状況、検索需要、検索意図との関連性

技術的な問題の確認、対策テーマの見直し

表示回数はあるが順位が低い

記事内容、競合との差、情報の不足

内容の改善、一次情報の追加

上位表示されているがCTRが低い

タイトル、検索結果の表示内容、検索意図との一致

タイトル・ディスクリプションの見直し

流入はあるがCVが少ない

検索者と商材の関連性、記事の内容、CTA

記事と導線の改善

CVはあるが受注につながらない

問い合わせ内容、顧客の課題、商談化率

対象キーワードや訴求内容の見直し

例えば、検索順位が高いにもかかわらずCTRが低い場合、タイトルが検索者の求める情報を十分に伝えられていない可能性があります。

ただし、近年はAI Overviewsなどによって検索結果上で回答が提示されることもあるため、CTRの低下をタイトルだけの問題と判断するのは適切ではありません。

また、検索順位が伸びない場合も、競合記事の見出しを追加するだけでは改善につながらないことがあります。

読者が必要としている情報は何か、自社ならではの経験やデータを提供できないか、説明に不足がないかを改めて確認します。

流入はあるものの問い合わせが少ない場合は、そもそも商品・サービスを必要とする人が訪問しているのかを調べます。

例えば、SEO会社が「SEOとは」という記事で多くのアクセスを獲得していても、読者の大半が基礎知識を学びたい人であれば、すぐに問い合わせが発生しなくても不自然ではありません。

その場合は、記事の役割を認知や課題理解と捉え、費用や会社選びに関する記事への遷移なども評価します。

改善は、数値の確認 → 原因の仮説 → 施策の実行 → 効果の検証という順序で進めます。

何となく記事を書き直すのではなく、問題がある箇所を特定し、改善の目的を明確にすることが重要です。

SEOの投資対効果は売上だけでなく利益も確認する

コンテンツSEOを継続するか判断する際には、検索流入や問い合わせ数だけでなく、費用に対してどの程度の事業成果が得られたかを確認します。

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

項目

数値

記事制作・運用費用

120万円

SEO経由の受注件数

10件

1件あたりの売上

30万円

SEO経由の売上

300万円

売上総利益率

50%

SEO経由の売上総利益

150万円

※説明用の仮定です。実際の企業データではありません。

この場合、売上は300万円ですが、売上総利益は150万円です。

記事制作・運用費用の120万円を差し引くと、単純計算では30万円が残ります。ただし、社内担当者の工数やその他の関連費用を含めていなければ、最終的な利益を示すものではありません。

また、問い合わせから受注まで時間がかかる事業では、短期間の数値だけで投資対効果を判断することは難しくなります。

特にBtoBでは、問い合わせ数だけでなく、商談化率や受注率まで確認することで、SEOがどの程度事業に貢献しているかを把握しやすくなります。

コンテンツSEOは内製と外注のどちらがよい?

コンテンツSEOは、自社で運用することも、外部の専門会社に依頼することもできます。

どちらが適しているかは、社内の専門知識や制作体制、予算、施策の目的によって異なります。

重要なのは、内製か外注かを先に決めることではなく、必要な業務を整理し、自社で対応できる範囲を把握することです。

運用方法

向いている企業

特徴

完全内製(インハウス)

SEO経験が豊富な専任人材と実行体制がある企業

社内にノウハウが蓄積され、迅速に施策を進めやすい

外注

SEOの専門人材や実行リソースが不足している企業

外部の専門性を活用できるが、継続的な外注費が発生する

ハイブリッド

社内に実行担当者はいるが、SEO戦略や分析の専門性が不足している企業

外部が戦略・分析を支援し、社内で施策を実行する

内製が適している企業の特徴と必要な体制

社内にSEOの知識や経験がある担当者がおり、記事の企画から効果測定、改善まで継続的に取り組める企業は、内製が選択肢になります。

内製の利点は、顧客や商品に関する情報を記事に反映しやすいことです。

例えば、営業担当者や商品開発担当者と日常的に情報を共有できれば、顧客からの質問や実際の導入事例などをコンテンツに取り入れやすくなります。

一方、担当者がほかの業務と兼任している場合、記事制作や分析に十分な時間を確保できないことがあります。

コンテンツSEOでは、キーワード調査、構成作成、執筆、編集、専門家確認、効果測定、改善など、さまざまな業務が発生します。

これらを一人で担当する必要はありませんが、それぞれの業務を誰が担うのかを明確にしておくことが重要です。

外注を検討すべき企業の特徴と依頼時の注意点

社内にSEOの専門人材がいない場合や、戦略設計・分析・制作に十分な工数を割けない場合は、外注を検討するとよいでしょう。

特に、検索需要や競合状況の分析、キーワード戦略の設計、効果測定の仕組みづくりなどは、専門家の支援が役立つ領域です。

ただし、記事制作を外部に任せれば、必ず質の高いコンテンツが完成するわけではありません。

弊社でも、記事の制作・納品が中心となり、クライアントの事業や顧客に関する情報を十分に得られなかった経験があります。

そのような状況では、検索キーワードに対応する記事は制作できても、企業ならではの経験や専門知識を反映することが難しくなります。

質の高いコンテンツを制作するには、外注先のSEO知識だけでなく、クライアント側の協力も必要です。

例えば、営業担当者へのヒアリング、専門家による構成案の確認、事例や実データの提供などを通じて、記事の内容を深められます。

また、すべての業務を外注する必要もありません。

キーワード戦略や分析は外部の専門家が担当し、記事に必要な一次情報は社内で収集するなど、双方の強みを生かした体制も考えられます。

外注費用は記事単価だけでなく、支援範囲から判断する

コンテンツSEOの外注費用は、依頼する業務によって異なります。

記事の執筆だけを依頼する場合と、SEO戦略の設計、キーワード調査、取材、編集、公開後の改善まで依頼する場合では、必要な費用が変わります。

そのため、見積もりを比較する際は、記事1本あたりの単価だけでなく、どこまでの業務が含まれているかを確認します。

例えば、記事単価が安くても、検索意図の分析や専門家への取材が行われず、一般的な情報をまとめるだけであれば、期待する成果につながらない可能性があります。

一方、費用が高ければ必ず成果が出るわけでもありません。自社の課題に対して必要な支援が提供されるかを判断することが重要です。

外注先を選ぶ際には、記事制作の実績だけでなく、事業や顧客への理解、SEO戦略の設計力、公開後の分析・改善への対応なども確認するとよいでしょう。

社内で対応できる業務と外部に任せたい業務を整理したうえで、費用と期待できる成果を比較することをおすすめします。

SEO会社の比較検討を進めたい方は、「東京のSEOコンサル会社おすすめ10選|費用相場と選び方も解説」も参考にしてください。

まとめ|コンテンツSEOは記事数ではなく事業成果から考えよう

コンテンツSEOは、記事を増やして検索順位を上げるためだけの施策ではありません。

検索を通じて自社の商品やサービスを必要とする人に出会い、課題解決や比較検討に役立つ情報を届け、選ばれる理由をつくるための施策です。

そのため、検索流入が増えたからといって、必ずしも成功とは言えません。

反対に、アクセス数が少なくても、購入意欲の高い検索者に適切な情報を届けられれば、事業成果に貢献する可能性があります。

これからコンテンツSEOに取り組む企業は、まず次の3つを確認してみてください。

1. 自社の顧客は、購入前に検索で情報を探しているか。

2. 自社だからこそ提供できる経験や専門知識、一次情報はあるか。

3. コンテンツSEOへの投資が事業成果につながる見込みがあり、継続して改善できるか。

この3つを整理することで、どのキーワードを狙うべきか、どのような記事をつくるべきかが見えやすくなります。

また、場合によっては、新規記事の制作より既存記事の改善やテクニカルSEO、広告などを優先した方がよいかもしれません。

「何本の記事を書くか」ではなく、「誰に、どのような理由で選ばれるか」。

コンテンツSEOに取り組むときは、まずそこから考えてみてください。

株式会社ピクシスでは、SEOの戦略設計から記事制作、効果測定、改善まで、事業成果を見据えた支援を行っています。

もし自社がコンテンツSEOに取り組むべきか、既存記事をどう改善するべきか判断に迷っている場合は、株式会社ピクシスへご相談ください。

新しい記事を増やすことが、必ずしも最初の答えとは限りません。まずは自社の課題を整理し、成果につながる施策を見極めることから始めましょう。